めも

建築関係の備忘録

地区計画条例 敷地面積の最低限度の適用除外(又はと及び)

法第68条の2第1項において、「市町村は地区計画等の区域内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを条例で、これらに関する制限として定めることができる。」とされており、法第68条の2及び令第136条の2の5の規定に従い各市町村の条例、通称「地区計画条例」を定めるわけです。

 

ところで、これらの規定に謎があるのです。

次の2つの条文をご覧ください。

 

法第68条の2第3項

第1項の規定に基づく条例で建築物の敷地面積に関する制限を定める場合においては、当該条例に、当該条例の規定の施行又は適用の際、現に建築物の敷地として使用されている土地で当該規定に適合しないもの又は現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば当該規定に適合しないこととなる土地について、その全部を一の敷地として使用する場合の適用の除外に関する規定(第3条第3項第1号及び第5号の規定に相当する規定を含む。)を定めるものとする。

 

令第136条の2の5第11項

法第68条の2第1項の規定に基づく条例で建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定める場合においては、当該条例に、法第86条の9第1項各号に掲げる事業の施行による建築物の敷地面積の減少により、当該事業の施行の際現に建築物の敷地として使用されている土地で当該制限に適合しなくなるもの及び当該事業の施行の際現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば当該制限に適合しないこととなる土地のうち、次に掲げる土地以外のものについて、その全部を一の敷地として使用する場合の適用の除外に関する規定を定めるものとする。

 一・二 略

 

前者は既存不適格の場合、

後者は公共事業等によって敷地が減少した場合について、

敷地面積の最低限度の制限を適用除外とする規定(を定めなさいという規定)です。

 

ざっくり言うと、

・既に敷地面積の最低限度未満の敷地に建築物が建っている場合

・敷地面積の最低限度未満の土地しか所有していない場合

どちらかに該当すれば適用除外にするよ、というもの。

(後述の横浜市の解説がわかりやすいです。)

 

基準となる時点が「条例の規定の施行又は適用の際」か「事業の施行の際」かという違いのはずですが、

前者は接続詞に「又は」を、後者は「及び」を用いています。

何らかの使い分けがあるのでしょうか?

 

法文を引用して条例を作成しているためか、各市町村の条例でも又はと及びが混在しているものが見受けられます。(例 横浜市https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/tetsuduki/jorei/chiku.html

 

ちなみに、用途地域に関する都市計画において敷地面積の最低限度が定められた場合にも、同様に適用除外とする規定があります。(法第53条の2第3項及び第86条の9第2項)

ここではどちらも「又は」を用いています。

 

 

2021/9/9追加

「施行令は誤りでは?」と書いたところ、いくつかご意見をいただきました。

文章構成の違いから接続詞が変わっているというのが理由にありそうです。

令第136条の2第11項だけが「A及びBのうち、C以外のもの」と適用除外の対象外をねじ込んで一文にしているのです。「A又はBのうち、C以外のもの」では文が成り立たないために、「及び」としていると考えられます。

リプライくださった皆様、ありがとうございます。

 

 

関連記事:

法第53条の2第3項 - めも

法第86条の9 公共事業の施行等による敷地面積の減少について第3条等の規定の準用 - めも